労働基準法による届出等の電子申請がより簡単になります。
これまで使用者が労働基準法に規定された届出等を電子申請により行う場合、改正前は、情報通信技術利用法等の規定により、記名押印又は自筆による署名(以下「署名等」という。)に代わるものとして、電子署名及び電子証明書の添付が必要とされていました。
また、当該手続を社会保険労務士又は社会保険労務士法人(以下「社労士等」という。)が電子申請により代行する場合には、情報通信技術利用法、社会保険労務士法等の規定により、使用者及び社労士等双方の電子署名及び電子証明書が必要とされていました。
こういった状況のもと、行政手続の簡素化のために、社労士等が労働基準法に規定された届出等を使用者に代わり、電子申請により行う場合においては、社労士等が使用者の職務を代行する契約を締結していることを証する書面(提出代行証明書等)の添付をもって、使用者の電子署名及び電子証明書の添付に代えることができるようにするため、省令改正が行われました。
平成29年12月1日施行(労働基準法施行規則第59条の3)。
対象となる手続きは?
今回の改正の対象となる手続は、労働基準法及びこれに基づく命令の規定により、使用者が労働基準監督署長に対して行う許可、認可、認定、指定の申請、届出、提出、報告等の手続であって、電子申請が可能であるすべてのものです。
よって、就業規則の届出や届出義務のある各種協定といった比較的手続き頻度の高いものも多いので、社労士にとっては重要で利便性が向上する改正ですし、より一掃の電子申請利用の促進を狙ったという側面もあるでしょうね。
労働基準法施行規則改正の概要
労働基準法及びこれに基づく命令の規定により、使用者が労働基準監督署長に対して行う許可、認可、認定若しくは指定の申請、届出、報告(以下「届出等」という。)について、社会保険労務士又は社会保険労務士法人(以下「社会保険労務士等」という。)が、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の規定により、電子情報処理組織を使用して社会保険労務士法に基づき当該届出等を使用者に代わって行う場合には、当該社会保険労務士等が当該使用者の職務を代行する契約を締結していることにつき証明することができる電磁的記録を当該届出等と併せて送信することをもって、厚生労働省の所管する法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則の規定にかかわらず、電子署名を行い、電子証明書を当該届出等と併せて送信することに代えることができるようになった。
同様に労働安全衛生規則の改正も行われます。
先に述べた労働基準法施行規則の改正と同じくして、労働安全衛生法及びこれに基づく命令の規定により、厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長に対して行われる申請書、報告書等の提出及び届出についても使用者の電子証明を省略して社労士等が申請、届出等できるようになります。
労働安全衛生規則の改正の概要
労働安全衛生法及びこれに基づく命令の規定により、厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長に対して行われる申請書、報告書等の提出及び届出(以下「申請書の提出等」という。)について、社会保険労務士又は社会保険労務士法人(以下「社会保険労務士等」という。)が、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の規定により電子情報処理組織を使用して社会保険労務士法の規定に基づき当該申請書の提出等を当該申請書の提出等を行おうとする者に代わって行う場合には、当該社会保険労務士等が当該申請書の提出等を代行する契約を締結していることにつき証明することができる電磁的記録を当該申請書の提出等と併せて送信することをもって、厚生労働省の所管する法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則の規定にかかわらず、電子署名を行い、電子証明書を当該申請書の提出等と併せて送信することに代えることができるようになった。
平成29年12月1日施行(労働安全衛生規則第100条の2)。