首都圏でチェーン展開をしている大手スーパーで働いていた知的障害のある男性が、パート従業員の女性指導係から暴言や暴行を受けたとして、約585万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は、会社と指導係に計22万円の支払いを命じました(平成29年11月30日判決)。
男性側は、女性から何度も暴言や暴行を受けたと主張し、会社側に配置転換や環境改善を要望していたが、聞き入れられなかったとして会社側の就労環境整備義務違反なども訴えていました。
そのうち、裁判長が認めたのは、「仕事ぶりが幼稚園児以下」、「馬鹿でもできる」といった発言だけだったようです。
よって、男性側は、判決後の記者会見で控訴する意向を表明したとのことです。
障害者雇用促進法によれば、一般の民間企業では、常時使用する社員数が50人以上(平成30年4月からは45.5人以上)であれば、障害者の方を1人以上雇用する義務があります(勤務時間が短い方は0.5人とカウント)。
また、平成28年4月施行の同法の改正により、雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いが禁止され、合理的配慮の提供義務も課されています。
このような事案については、どの企業でも起こり得るものです。
パワハラの防止対策はもちろん、障害者雇用促進法の遵守も必要といえます。
参考資料
障害者の差別禁止に係る自主点検資料