首都圏を中心にインターネットカフェや漫画喫茶を展開する会社の元従業員の男性が時間外労働に対する割増賃金の支払いを求めた訴訟について、10月11日、東京地裁が同社に1,000万円を超える金額の支払いを命じました。
判決によると、男性は、平成21年から28年まで、同社の漫画喫茶や本社で午前10時~午後10時のシフトで週6日働いていたそうですが、残業代は固定制で、給与明細では約半額が基本給、残りの約半額が「固定残業代」とされていたとのことです。
判決は、「入社面接時に給与のどの部分が固定の残業代か説明をせず、(原告である男性と)残業代に関する合意がない」と認定。退社時からさかのぼった2年間(時効で賃金の請求権が消滅するまでの期間)において、法定労働時間を上回る労働が毎月82~123時間に上ったと認め、この時間を積算した未払い残業代などの支払いを命じました。
最高裁の判例などをみると、残業代込みの賃金(基本給に残業代を含める制度や固定残業代など)については、次のような考え方が貫かれています。
一律にそのような制度が無効ということではない。
しかし
通常賃金と残業代とを区別できる必要があり、実質で判断すべきである。
残業代込みの賃金制度について求められるのは、とにかく、「通常賃金と時間外賃金(残業代)が区別できること」という点です。
通常賃金と残業代とを区別ができないのなら、残業代込みの賃金を導入すべきではないですね。