「人を育てる人事制度」のねらい
人材育成は中小企業の最重要課題
中小企業のための人事制度
従来の人事制度は、「従業員の能力を測定し、その結果に基づいて処遇を決定する」ことを第一の目的としてきました。
大企業の場合はこれでいいかもしれません。
しかし、中小企業ではこのような考え方では業績の伸びも期待できません。ましてや従業員のやる気の向上や働きがいのある職場にすることも期待できません。今日、景気も正常に回復しつつあるこの時期に、人事制度の基本理念をもう一度考え直す必要があります。
成果主義に傾倒した人事制度は、従業員の萎縮を招き、自分の能力の発揮よりも組織に残ることを第一に考え行動してしまうような社風を作ってしまいます。
時代は超売り手市場
図の通り、有効求人倍率はバブル期を超え、中小企業がこれから人を採用することが困難になるであろうことは容易に想像できます。※2017年5月30日日本経済新聞より
加えてなんとか採用した若い従業員に会社を辞めずに継続勤務してもらうことはさらに難しいかもしれません。
つまり、これからの中小企業にとって、より良い組織文化を醸成していくことが肝要で、弱肉強食、個人中心主義、成果第一主義などといった「脅しの人事」としか言いようのない価値観を社内に浸透させていては企業の組織文化は向上しないでしょう。
企業は人なり
「企業は人なり」と言われます。つまり「人」が企業を発展させ、進化させるのです。
その「人」とは決して経営者だけではありません。従業員も管理者も、そしてパート従業員や派遣従業員までもが「人」としてやる気を出し、能力を高め、そしてその能力を発揮してこそ企業は発展します。
企業の発展こそがそこで働く従業員の幸せの根源です。企業の発展なくして従業員の幸せも生まれてこないのです。
人事・評価制度はこの企業文化をより良いものにするために非常に重要な課題です。
今後10年ごとに生産年齢人口は約8%ずつ減少
下図をご覧ください。
我が国における人口減少と少子高齢化は年々進展していき、約40年後の15〜64歳の人口(生産年齢人口)は現在より約42%減の4,418万人との推計が国の調査で出ています。
上図の通り、今後働く人は確実に減少します。
中小企業が名だたる大企業と採用競争をして勝ち目があるでしょうか。
あなたはどちらを選択しますか?
「人を育てる人事制度」の主眼がここにあります。
中小企業が勝ち残る秘訣は組織力にあり
中小企業に求められるこれからの人材育成は、
- 組織・チームのパフォーマンス向上
- 組織と個人の双方が対象
が目的でなければなりません。
10人の従業員がいると仮定します。
パレートの法則(働きアリの法則)によれば、一般的に以下のようなことがいえるでしょう。
「能力2」の優秀な従業員が2名、「能力1」の普通の従業員が6名、「能力0.5」の優秀でない従業員が2名
=2×2+1×6+0.5×2=11
これが組織力・チーム力です。
これまでの人事制度では、まず能力の優劣による「脅しの人事」により、「能力0.5」の従業員が切り捨てられ、「能力2」の従業員のみが評価される制度となっていました。
しかし、正しく人事制度を導入・運用することで「普通の従業員」を育て、能力を活かすことができます。
「能力2」の従業員の能力を「1」アップさせることに注力・期待するよりも、それ以外の従業員の能力を「0.5」ずつアップすることができれば、
2×2+1.5×6+1×2=15
の組織力・チーム力を生み出すことができるようになるでしょう。
中小企業の人に関わる現状と課題
「人材育成」=「企業の発展」を阻害している、いま、中小企業で起きていること。
企業風土の問題
- 誰が何をしているのかわからない
- 成果主義が個人成果を重視し、組織成果を軽視
- 会社と従業員、上司と部下の信頼関係がない
- 個人の意見が言える場、雰囲気がない
経営方針の問題
- 会社の事業に対する社会的な意義が不明確
- 従業員を労働者視し、キャリア形成などの育てる気がない
- 従業員が集い、わかち合える機会がない
- 頑張った人への評価がない
「ギスギス」した雰囲気
- 会話や相談がなく、皆がただただ黙々と仕事をしている
- 助け合いや協力がないのが当たり前
- 会議やミーティングでは社長か上司だけしか発言していない
- 思考停止状態、新しいことには誰も挑戦しない
- 挨拶がない
「従業員=ただ働くマシーン」という空気
- 会社は従業員を育てようとしているのか全く見えない
- 業績をあげなければ非難されるだけ
- 頑張っても評価されない
- ルーチンワークのみでマンネリ
経営者の悩み
- やりがい・希望の持てる職場にしたい
- 優秀な従業員には相応の給与を出したい
- 大企業のような昇給はできない
- 年功だけで昇給はしたくない
- やる気の出る制度を作りたい
従業員の不安
- 頑張っても報われない
- 改善や提案をしても誰も聞かない、協力しない
- 経営目標、部門目標がない
- 教育がない、行き当たりばったり
- 経営者が何を考えているのかわからない
- 会社がいつどうなるかわからない
これらの課題を解決する「人を育てる人事制度」で、
人材育成と企業発展の「戦略的いいとこ取り」をしませんか?
「人を育てる人事制度」7つの特徴
✔︎運用が容易
人事専門の従業員がいなくてもできる、中小企業に適したシンプルな制度となっていますので、のちのちの運用や修正が容易に可能です。
✔︎プロジェクト方式で構築
従来型の社長やコンサルタントがトップダウンで強制するものでなく、プロジェクト方式を用い、リーダーが中心となって進めますので、どのような行動・努力を皆ですることが働きがいと企業の発展に繋がるかを自主的に考えられる設計となっています。
✔︎利益による弾力的な昇給が可能
従来の人事・評価制度では、賃金表に基づきエスカレーター式に昇給する傾向があり、それが中小企業にとっては制度導入の足かせになっていましたが、この制度では経営計画時における人件費予算額の範囲内での昇給金額の決定が可能です。
✔︎単純な年功評価はしない
能力評価はもちろんのこと、「行動評価」としてどのような行動・努力をしてくれるかを重要な要素と位置づけ、年齢による昇給のウェイトを極力抑えた設計となっています。
✔︎成長を可視化できる「キャリアラダー」
従業員の成長ステップがすべての従業員に見えるよう「キャリアラダー」を作成し、優秀な従業員とそうでない従業員を分別することなく、すべての従業員が成長できる制度です。
✔︎中小企業にやさしい価格設定
中小企業にとっては導入の際の価格面も大きなハードルの1つと言えるでしょう。その点、「人を育てる人事制度」は中小企業のために作られた制度ですので、一般的な大企業向けのそれと比してコストの優位性は高く、導入しやすい価格設定となっています。
✔︎社会保険労務士ならではのメリット
中小企業の人事労務に精通した社会保険労務士ですので、人事制度の導入と同時に御社の労務管理経営に関し、適切な助言・指導を行うことが可能です。
「人を育てる人事制度」導入の流れ・進め方
「人を育てる人事制度」導入の流れ・進め方は以下の通りです。
1.プロジェクトメンバーの決定・スケジューリング
2.人事制度の意義を確認
3.資格等級制度設計(能力評価)
4.行動評価制度設計(行動・努力評価)
5.給与制度設計
6.評価者訓練
7.運用
プロジェクトの期間・回数
期間:6ヶ月〜1年
回数:月1〜2回、1回につき3時間程度
※いずれも企業規模により増減する場合があります。